ネパール蚤の市

―比較文化玉手箱―


思春期の頃の女の子が何を見ても笑うのを、日本では「箸が転んでも笑う」と言います。
ネパールでは何と表現するのでしょう?
「犬のしっぽがまるくなっているのを見ても笑う」と言うそうです。
*英語で「あの年頃の娘は箸が転んでも笑う」は、
"Girls of that age are ready to laugh at the drop of a hat."([プログレッシブ和英辞典]による)
だそうで、「帽子が落ちるのをみても笑う」となります。


「おしどり夫婦」

ネパールでは「鳩夫婦」

英語では"a couple of lovebirds"


関西での「ギッタンバッコン」(シーソー)

ネパールでは「ディキチャン」

英語では"a teeter-totter"または "seesaw"


Kathmandu Quickstep

アジア旅行で悩まされる下痢は、英語では"diarrhea"ですが、lonely planetのガイドブックなんかには、よく"Delhi Belley"という表現がでてきます。「デリーのおなか」すなわちインドでは下痢にかかりやすいことを示唆していますが、同時に"delivery"(分娩=産みの苦しみ)に掛けているのでしょう。
今度、"Kathmandu Quickstep"というのを見つけました。上の表現のネパール・バージョンで、「カトマンズの駆け足」というところですか?
とにかく、向こうの下痢はきつい!
皆さんもお気をつけて! といってもただ気をつけるだけではだめなようです。
「生水は飲まないように」
「ハエの活躍する3月下旬から6月が危ない」
「当店の野菜はiodine(ヨード)で消毒してありますので、安心してお召し上がり下さい」
「生焼けの肉は食べないように」
「ベーコン入のパイ、ヨーグルト等の調理してすぐに食べないものは危ない」
(以上を暗記するキーワードは、“ナマステ”=生捨て!?)
色々な忠告に従っても、Kathmandu Quickstepは避け難い。


【参考】
Delhi Belley や Kathmandu Quickstep の他に、各国で色々な表現があります。
Mexican revenge
Cairo crud
Rangoon runs
Hong Kong dog


歌垣(ウタガキ)


大阪府能勢町歌垣山、茨城県筑波山、佐賀県杵島山が日本三大歌垣といわれる。
中国雲南省では現在も行われているらしい。
ネパールでは、「ロディ」といわれ、グルン族に伝承されているそうだ。
「♪たーんす、ながもち、どなたがほしい…」に似たやりかたという。
ネパールから、東南アジア、日本の広い範囲での、米や、仏教などとともに、文化的つながりの深さを感じます。


モロコシ泥棒

シェルパ農場でもカラスやキツネにモロコシその他が被害をうけますが、ラッキーさんの故郷エベレスト登山口のソル・クーンブ地方でも熊などにモロコシがやられます。
そこで収穫期には交代で2人が夜寝ないで見回ります。
また、家からヒモを延ばしてモロコシ畑の立ち木にぶらさげた空缶に結び、家に居ながらヒモを時々引っ張って音をたてて熊よけにします。
ある夜、親戚の女の人がたいまつをもって畑に行くと熊に出くわしました。
驚いて逃げる熊を追いかけて石を投げつけたりして熊の足跡をたどると、生のモロコシをたらふく食べたせいか、消化不良で下痢のウンチがボタボタと落ちていたということです。

(「シェルパ農場」通信欄“1998”より転載)


村の正月

ラッキーさんの村では、旧正月にあたる2月頃の「ロサ」というお祭りを祝います。
特に何をするということもないのですが、普段あまり食べない米を炊いたり、肉料理やうどんを作ったりします。
村の20軒ほどの家が、順番に各戸に他のすべての家の人たちを招いて、食事をしたり踊ったりします。貧しい家庭は2軒で組んで招きます。
これを20日間近く毎日やるわけです。
時間のゆったり流れるネパールやインドでは、日本のように休み開けの帰省ラッシュに気を使うこともなく、たっぷりとお正月を過ごすんですね。
気持ちのゆとりが表情、態度でよくわかります。
経済的バブルから精神的バブルもはじけてしまった昨今の危うい日本の世相。「経済援助」の見返りに「精神援助」でもしてもらいますか…。

(「シェルパ農場」通信欄“1999.01”より転載)


ジャガイモ料理

一昨日は、隣組のお宅におじゃましてラッキーさんによるネパール料理の講習会をやり、女だけで会食を楽しんだようです。
好評で第二弾もやるようです。今回はカレーとナンでしたが、今度はお菓子とか漬け物のようです。
さて、それではネパールのラッキーさんの村でのジャガイモ料理のお話をひとつ。
そのスルケ村にはエベレストから流れるドウド・コシという川があります。雨期には奔流となり、越せるものならドウゾ・コシ!?
その・・芋の話ですが、その川岸に巨大な岩があり、雨に洗われた岩の上に生のジャガイモをいくつも置き、すり鉢でやるように棒で芋をつぶします。
そのまま2-3日置いて乾燥させたものを水で練ります。モチ状になったらできあがり。各自の皿にとり、ちぎってタレにつけて食べます。
タレはトウガラシ・ショウガ・ニンニク・塩の他、バターを作る時にできる副産物のソマル(*)という発酵エキスも加えるとGood、ということらしいです。(タレは各自の好みでしょう油を使ったり色々考えられるでしょう。
あんたもスルケ?(河内弁で失礼!)

*このソマルというのは独特な臭みがあり、乳離れしない子供がオッパイを嫌がるように、乳首に塗ったりする利用法もあるそうです。
「くさや」や「ドリアン」のように、臭みはあるが、味を憶えればうまいそうです。

(「シェルパ農場」通信欄“1999.02”より転載)


ラッキーさんのスルケ村では、米塩等の必需品は様々な物売りから買います。
当然オモチャ屋さんなどのお店がないので、子供たちのオモチャは自然のものを利用して作ります。
花豆(などの大きな豆)が秋に実が成ってまだ固くなる前にサヤから取出して、木の小枝の爪楊枝より小さいくらいのを4本、豆に刺して足にして、ヤクや羊等に見たてて遊ぶそうです。
日本のお盆にナスに割箸を刺して作るのと同じ要領です。
こうしたオモチャは捨てる時も自然界に帰りゴミにはならないですが、観光客や登山者の捨てていく電池も子供たちのオモチャになっており、中を分解して遊んでいるそうで、危険でもあり汚染の原因にもなります。
エベレストもゴミだらけといいます。清らかな自然を求めて行く人が汚染の伝播者では皮肉なことです。
自分のまわりを見回しても、ヤバイものだらけで、反省ハンセイ。

(「シェルパ農場」通信欄“1999.02”より転載)


我家に子猫が来たので、ネコの話題を1つ。
ネコは、ひざの上に乗せたりして、気持ちがいいと、ゴロゴロとのどを鳴らしますが、シェルパ人の間では、お経を唱えていると言います。
そのお経は、シェルパ語で「ネコを殺してはいけない。」と聞こえるそうです。
もし殺したら、ネコの毛の数だけのロウソクを灯して弔いをしても弔いきれないといいます。


カルチャーショックの四段階説というのがある。

1. ハネムーン段階
 食べ物、景観、建物…すべてがものめずらしく、新奇に写る一種の恍惚状態。とにかくどこでも歩き回り、なんでもやってみたくなる。

2. 倦怠期段階
 目新しさは立ち消え、違った観点からその国を捉える。この段階ではよく、その国のことをけなしたり、みくびったりする。

3. ひとつ大人になった段階
 初期の自分の誤った印象を振り返って自ら面白がる段階。

4. アットホーム段階
 まるで我が家にいるようにリラックスしてその国の生活をエンジョイする段階。

 さて、皆さんは、ネパールとの関係において、どの段階にあるのでしょうか?

2003.9.19記



 


 


 

以下ボチボチ追加していきます。

 


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