夏のゴーキョ花街道

ゴ−キョ・トレック

期間(8月7〜25日)

 

出発まで

 私は過去3回ネパールの登山あるいはトレッキングを経験していましたが、雨季のネパールはトレッキングには不向きと思っていました。偶然写真家の藤田弘基氏の写真集「エベレスト花街道」を見る機会がありました。乾季では見られない美しい高山植物が咲き、その背後にはヒマラヤが写っていました。調べてみると、雨季でも午前中は雨の降らない日が多く、十分トレッキングが楽しめそうだということが解りました。

 同じ山岳会のOさんを誘い、19日間の計画をたてました。目的はゴーキョ・ピーク往復とブルー・ポピーに代表される高山植物を楽しむことです。雨季ということで、歩行時間を短くし、ルクラ便の欠航も考慮して、ちょっと長めの日程としました。Oさんは夏のランタンに行ったことがあり、やはり午前中は雨が降らなかったようでした。出発まぎわにOさんの古い山仲間ふたり(GさんとNさん)が加わり、4人のメンバーとなりました。

 

トレッキングのスタイル

 トレッキングのスタイルはいろいろありますが、トレッキングを楽しむために、また雨季ということで、ロッジ泊のフルサービスとしました。H.S.A.については3年前にアイランドピークに登った時に、H.S.A.のサービスで来ている人に会い、その時に内容を聞いていました。

 出発間際に海外が始めてのGさんとNさんが高度順応として富士山に行きました。頂上に宿泊した際に、高山病になり不安を打ち明けました。対策について、森崎さんにメールでいろいろと質問をして出した結論は、ガイドが二人付くということで、不調のメンバーが出た場合はガイド一人を付けて低地で待ってもらうことにしました。慣れてくるとガイドの必要性を感じない人もいると思いますが、やはり楽ができますし、なにかの時の保険を考えると必要と思いました。

 

雨季のゴーキョ街道

 モンジョのサガルマータ国立公園事務所に月別の入園者数が書いてありました。それによると一番多い10月の6千人に対して、8月は200人程度となっていました。そのために他のトレッカーに会うこともまれで、ロッジはどこも貸切状態でした。ガイドがレベルの高いロッジを選択したこともあると思いますが、宿泊したほとんどのロッジが清潔で快適でした。

 以前の経験からロッジの食事は単調なので、日本から多少の食料を持参しました。ガスも準備したのですが、宿泊客も少ないことから、ロッジの協力でガスを使わずに日本食の調理ができました。H.S.A.からガス・カートリッジを借りましたが、そのまま未使用でお返ししました。

 ちょうど8月中旬はカルカでは冬のヤクの飼料となる草の借り入れのシーズンでした。どのカルカでも村人たちの草を刈る風景を見ることができました。マッチェルモで高度順応のために一日停滞したのですが、メンバーの中にはいっしょに草を刈り、楽しんでいたものもありました。

 天候ですが、雨は毎日降りますが、出発する頃には止み、夕方から降りだすというパターンでした。ゴーキョ・ピークに登った日は山が見えるベストタイムを7時として、夜明け前に出発しました。やはり雨が降っていましたがガイドのすぐに止むとの判断でした。この判断が的中し、雨季にもかかわらずエベレスト、ローツェ、マカルー、チョー・オユーと8000m峰4峰を見ることができました。

 

高山植物

 夏はいたるところで花に満ちていました。ドーレ(4200m)あたりが森林限界となっていて、ここを過ぎると丈の低い草原は一面のお花畑となっていました。花は皆小さく、エーデルワイスもいくつか種類がありましたが、花はこぶりでした。

 さて、ブルー・ポピーですが、ゴーキョの手前でモレーンの脇を歩くようになってから、いたるところの岩陰にありました。ただ8月中旬という季節は少し遅いようでした。

 5000mあたりの生物の生育限界にはセーター植物という羽毛に被われた植物があるのですが、今回はそのうちの一種を確認しただけでした。われわれのガイドは花に興味が薄いようでしたが、他のガイドで詳しい人がいて、ゴーキョ・ピークの登山道を離れたところにはあるとのことでした。ブルー・ポピーのネパール名はあるようですが、シェルパの言葉にはないと聞きました。このようなことからシェルパの関心度が解ります。

 

高度順応について

 高度に対して極度に不安を持つ二人のために慎重に行動しました。通常は1日に獲得する高度を500m程度に設定するようですが、のんびり行程のために結果的には300m程度になりました。このためか、ナムチェで多少の症状を訴えるものがでましたが、その後は全員快調でした。ゴーキョ(4800m)に3泊したのですが、全く症状はでませんでした。ガイドの提案でマッチェルモで1日休養したのも効果的でした。ちなみにナムチェ以降はダイアモックスを半錠づつ服用しましたが、実際の効果はさておき、精神的な効果が大きかったように感じました。

 

最後に

 計画では帰路にカトマンズ滞在日を2日とりました。帰路のルクラ・カトマンズ便の欠航を想定してのことです。幸い悪天候で1日待ったのみでカトマンズに帰れました。余裕のないパーティーからはヘリをいっしょにチャーターしないかと誘われましたが、我々は日程に余裕があるので断わりました。

 悪天候で1日ルクラで待った日、我々の予約した会社の飛行機の痛ましい墜落事故がポカラでありました。やはり雨季のトレッキングは十分な余裕のある日程で計画してこそ楽しいトレッキングが可能であることを実感しました。

 

2002.8.27

by Mr.SK

ご本人のホームページ
Armchair Climberの軌跡


 感想文、ありがとうございます。

 夏しか休みが取れなく、トレッキングをあきらめていた方に朗報となり、また、夏のトレッキングの空いていること、夏の高山植物のご報告で、きっと夏にも行きたいと言われる方が出てくると思います。

H.S.A.JAPAN 森崎


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