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1997年10月にメラ・ピーク登山(山スキー)された立命館大学山岳会の方のお便りをご紹介いたします。

 高所山スキーの旅

ネパールではお世話になりました

                  小林 毅(立命館大学山岳会)

無事帰って来ました。おかげさまでメラピークに全員登頂できましたまた、現地での、プルバさんの心あたたまる対応に、感謝、感謝であります。ポーターやガイドも、親切な方ばかりで、感激しました。

これまで何度か海外登山をしましたが、これほどの対応を受けたのは初めてでした。またいつも問題となるのが、リエゾンとの意見の食い違いとか、ポーターとの対立でしたが、今回は、人の問題はまったくなく、心より登山、キャラバンを楽しめました。心より森崎様をはじめ現地のプルバさん、そしてスタッフにお礼を申し上げます

 特にプルバさんには、家にご招待いただいたり、なんとお礼をしたらよりか、言葉もありません。今後も、山の計画にかぎらず、ネパールに遊びに行くような時も、お願いしたいので、よろしくお願いいたします

 ひとつだけ、気づいた点ですが、ホームページにでている公募隊のメラピークの日程ですが、私が登った感じでは、登山活動期間が3日間ですと、高所未経験者には、少し厳しいかな?と言うのが率直な意見です。おそらくヨーロッパあたりの客ですと、モンブランあたりで、高所順応していれば問題ないのですが日本人の場合で、高所未体験者は、厳しいかもしれません我々の隊でも、日程を多くしていただいたにもかかわらず高所の体験がない現役の二人は、かなり苦労していました、今後、日本からメラピーク隊を募集する上で、参考になれば幸いです。

 それにしても、食事は美味しいし、人は、良い方々ばかり
登頂もできたし、最高でした。本当にありがとうございました

 

山スキーとメラ・ピーク

私個人のスキーに関した感想を少し述べます

まず、私がスキーを使用したのは、メララから下りてくる氷河の末端からハイキャンプまでです

なぜ、ハイキャンプから、登頂に使用しなかったか?


1.全体的に傾斜は緩傾斜だが、部分的に何度かスキーを外さなければならない傾斜があり、滑りよりも登頂を重視した。

2.ハイキャンプへ荷揚げの後、ハイキャンプからメララまで滑った結果、高所では完全に順応した後でなければスキーの滑降は辛いだけで、楽しくないと感じた事。

3.他のメンバーのスキー技術、及び、順応に不安があった。

 (現役は、今回が初めての山スキー!)

順応がうまくいってれば、頂上の直下の20mを除き、滑降可能です

メラのスキーは、大きくわけると、ちょうどキャンプ設営地点を挟んで、おおまかに3種類にわける事ができます

 

●BC上部の氷河末端〜メララキャンプ地

氷河の末端が急で氷になっているが、スキーを外さずにメララまで登高可能、ただし、この末端でスリップは禁物、現役には外させた

この末端部分をすぎると、ほとんど傾斜のない広い氷河がメララまで続く、クレパスの心配なし

 滑りはストックによる推進滑降、及び踵をリリースしてクロカンスタイルで滑る。末端の氷河は、荷下げしてきた荷物の重み、及びすでに氷が出始めていたため、スキーを外す

 

●メララ〜ハイキャンプ

1度目は、すべてスキーを付けたまま登ったが、2度目は、途中で、かつぐ、大きなクレパスが一つだけあるが、しかっりしたスノーブリッジを、スキーのまま渡る問題なし、全体の傾斜は、バレブランシュぐらいか滑りは、1週間前に降った雪が、まだ絞まっておらず15〜20cmの雪のため、コントロールに苦しむ、けっこう重い雪だ。でも楽しい

 

●ハイキャンプ〜頂上

今回スキーを使用していないが、登った感じでは急傾斜での脱着の手間、及びトレースがあってもスキーを使用する事に重点をおくなら、使用できるが傾斜的には、中間部できつい部分があるので慎重にくだらないと、危険(登頂の疲れもあるだろうから)雪の質は、こちらも重い

だいたい3パートの性質は、このようになりますが他のパーティでスキーを使っていたパーティはキャラバン中出会った1パーティだけでした

このパーティは頂上直下から滑ったと言ってました

それと、少し問題だと思った事は、キャラバンでスキーを担ぐポーターに負担がかかっていました。特にツェタルワラ峠の下りでは、非常に状態が悪かったため、申し訳ない事をしたと思いました。また春のシーズンであれば、この峠からも滑れるでしょうが、雪崩要注意の傾斜です!!

 

 メラピークは、スキーを使ったからと言って、機動力が増すわけでありませんが、うまく言えませんがスキーを使って山を登る事に、(あるいは下る事に)喜びを感じる人種にとってやはり、ヒマラヤの中では数少ない実践の場ではないでしょうか

たとえば立山から槍まで、スキーを使って縦走しても、それほど違いはないように感じますが、それでも、スキーを持って行くとなぜか楽しい、あの感じに似ています。本当は春の八甲田のノリであるいは5月の立山のように滑れる山があると楽しいのですが..と自分の技量、体力を棚に上げて言ってはいけませんね

やはり一番のネックは、高所順応できているかどうかの問題だと思いました

取り急ぎ、雑感を書いてみまいした。

写真
エベレストを背にメラピーク頂上
メララよりメラ・ピークへの雪原


*小林様には、大変貴重な報告、ありがとうございました。また、ホームページ「奥日光の自然と私の山々」の(
メラ・ピークの報告)にもリンクさせていただきました。
今後も、当ホームページで、後続の登山者のため、ご意見等を掲載していきたいと考えております。(H.S.A.JAPAN 森崎)


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