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夏のランタン谷は花花花

Mr.NT (40代) 1名様
200988日〜22
ランタン〜ヘランブ・トレック

夏のランタン・ゴサインクンド→カトマンズ トレック

12日間のオフシーズンの単独トレッキング、長かったです。とは言っても、欧米人にとっては、ランタンとゴサインクンドを一度に行くのはほぼ常識で、それが証拠に、両者の中継基地となるシャブルー(ツーロ・シャブルー)はたいへん栄えていました。その一方で、バルクーからブラバルのあたりはまったくさびれ、往年のブーム時に立派に建てられたブラバルのゴンパは、ほとんど廃墟寸前。15年前から知っているバッティは閉ざされ、そこに居た女性はイスラエルに出稼ぎに行ってしまっていました。多くのネパール人が中東に出稼ぎに出ているのは知っていましたが、こんな山の中で、しかもあの一見世俗を超越したような雰囲気の人が、イスラエルという私にとってもっとも縁のない国に行ってしまったと聞き、初日からかなりショックでした。
雨はずいぶん降られました。でも、こっちは「大変だなー、道もつるつる、泥もはねて最悪!」と思っている様な場面で、地元の女の子が、カサを手に、スカートをちょっとつまんで鼻歌を歌いながら学校に通うため追い抜いていく。この子らにとってはこんな天気もどろどろの道も日常に過ぎないんだ、と感じた場面でした。
観光シーズン中は、ランタン谷の村々では派手なロッジばかりが目立ち、一般の村民は影に隠れていた印象がありましたが、雨季のこの時期は農民こそが主人公、こんなに生き生きしたランタン村は初めて見た気がします。
花は最高にきれいでした。予想以上です。一応、ランタンリルン、ゴサインクンド、ガネッシュの山々は見ることができ、雨季にしてはそれなりの成果だったと思います。
この時期のこの方面の記録は比較的少ないので、参考となるようなことを下記にまとめます。

<天候と山の眺望>
・ 朝の天気にかかわらず、大体午後3時(早いときは1時)頃から、大雨となる。夕方に一度やむが、夜半にまた降る事が多い。
・ 5日に一度くらいの割合で、朝の好天が期待できる。私の場合、ランタン村とゴプテで晴れた。キャンジン・ゴンパに1日早く入った方は最高の眺望を満喫したとのこと。また、私がゴプテに居たとき、タレパーティに泊まっていた方は、ガネッシュ方面が大変よく見えた、とのこと。
・ 反対に1日中大雨だったのは、シャブルーからシンゴンパへ移動した日のみ。地形のせいか、天候の変化のせいか、ランタン谷では霧雨(カッパをザックにひっかけただけでどうにかなる程度)、ヘランブーでは、半日ほど大雨(上下カッパ+カサ)の中を歩くことが多かったです。



<花>
・ ランタン、ヘランブーとも3800−4000くらいの高度は、花、花、花です。
・ ランタン谷でいえば、ゴラタベラの上部からキャンジン・ゴンパ。ランシサ・カルカには行けませんでしたが、きっとキレイなんだろうと思います。
・ ゴサインクンド方面は、ヤウレビナ・ヤク上部の山腹のトラバース道のあたり。尾根を回り込むたびに花の種類がかわり、飽きることがありません。
・ ランタン谷は、なだらかな地形の緑の中に、割と大振りな花が一面に咲く、言ってみれば南アルプス的な印象。対してゴサインクンドは、急斜面に小ぶりな花が一面に咲く、北アルプス的な感じ。
・ ヤウレビナ・パスを下った牧草地の花もすごいです。
・ ヘランブーでは、ところどころに開けた牧草地の花畑に心和むものがあります。



<蟲・・>
1. ヒル 高度3400まで確認できました。特にヘランブーが多い印象です。ロングスパッツをガイドに見せたら、「No use!」と一言のもとに却下。現に私が今回唯一ヒルに噛まれたのは、雨でロングスパッツ+カッパを重ね着していたときでした。では、地元の人はどうしているかというと、わがガイドは靴を持っているけどヒル地帯を歩くときは、サンダルに半ズボンとしていました。これならヒルがついてもすぐ気付くので、「塩ボール」で退治できます。ヒルというのは体についてもすぐに食いつくわけではないので、これで充分なわけです。かえっていろんなカバーをして死角を増やす方が危険ということです。日本人にはサンダルは無理ですが、皆様も半ズボンを試してみるのが良いかと思います。
2. ブヨ(?) いつ刺されているのかまったくわかりませんが、だいたい2日に一箇所くらいのペースでやられました。まあ、これは大したことないです。
3. 南京虫(?) これは盲点でした。おそらく初日に寂れたバルクーの宿で噛まれたと推測します。登山用の長ズボンをはいていたにもかかわらず、足の先から脚一面に数え切れないくらい噛まれました。 その痒さたるや!靴を履くたび踊りそうでした。そんな痒さが1週間近く継続しました。暑くてシュラフを羽織っただけだったのが敗因とは思いますが、果たしてしっかりシュラフに入っていたら防げたのかは疑問です。ただ、今回会ったトレッカーでこんなになっていた人は他にいなかったので、そこらじゅうにいるというわけでもなさそうですが。
4. その他 蚊や吸血アブはまったくと言って良いほど見ませんでした。ただ、ベッド、じゅうたん、クッション等、すべてが湿っていますので、何だか良くわからないものがいる感じです。



<道>
・ 基本的に水はけが良く、田んぼ状になっているところは少ないです。そういうところも、足場として石、木切れ等が投げ込んであるので、少なくとも現地の人は足をよごさず通過することができます。(要するに、靴が汚れたとしたら、歩き方が下手ということ)。
・ 同様、道が川になるのは雨が本降りの間のみ。クトゥムサンに下りる道は、水流で深くえぐれ雨季はいかにも難儀しそうですが、今回、2時間前まで本降りだったにもかかわらず、通過時はまったく水を見ませんでした。

<ロッジ>
・ 結構営業していない場合があり、注意が必要。例えば、バンブーロッジはすべて休業、ラマホテルでさえ、営業していたのは1軒のみ。
・ ランタン谷では、どちらかというと、儲かっっている立派なロッジが休業し、兼業の小さなロッジは何となく開いている、という傾向。また、小さいロッジも設備は充分で、どこも清潔な印象。ガイドが言うには、昔、ランタン谷では金持ちの力が強く、小さなロッジの競争力を抑えるため、いろいろ制限を課していたが、マオイスト公認後、マオイストに訴えたところ、そのような制限が撤廃されたとのこと。
・ ゴサインクンド方面のロッジはどこもきれいです。ゴサインクンドからクトゥムサンの間はたいへん貧弱。特にゴプテのロッジはガラスもなくトイレも前時代的。
・ とにかくトレッカーが少ないので、どこも開店休業状態。日中は、近所の男が集まってかけトランプ等に興じ、それが帰ったと思ったら、親戚がいっぱい集まってきて、たった一人の日本人は、ネパール人の中に混じって、ダルバートを食べる、という風景。ダイニングに一人いても寂しいので、キッチンの薪ストーブを囲んで家族と一緒に食べることが多かったです。

<バス>
・ 行き(ドンチェ、シャブルベンシ方面)は、ドンチェ手前で2箇所道が寸断され、そのたびに歩き→バス乗り換え。せっかく良い席に座っていても乗り換えのたび移動、屋根の上にも乗るはめに。
・ この地すべりはとても大規模なので、当面復旧するとは思えません。ただ、これだけ大規模な寸断にもかかわらず、プルバ社長もガイドもそれについて知らず、あまつさえ、バスの切符も何事もないかのように最終目的地まで発行されていたようです。
・ バルクーの手前のぬかるんだ上り坂で、バスがスリップ。屋根の上から順に、荷物、人を下ろして軽くし、何回目かのトライでなんとか脱出できました。

<食事>
・ ロッジの食事は基本的にどこも同じです。また一品の量が多いので、一人の場合、二品頼むと食べきれなくなるため、どうしても単調となってしまいます。
・ 結局、脂っこくなく、栄養バランスが取れているもの、と考えると、ダルバートが多くなってしまいます。とは言っても、各ロッジで特徴があり、野菜は外の畑からの取立て、場所によってはキノコも入ったり、とそれはそれでおもしろいです。
・ オムレツがおいしかったです。卵自体がおいしいんでしょう、ざっと溶いて多目の油でいい加減に焼いて塩を振っただけですが、やめられないおいしさです。
・ 今回、昼食で気に入ったのは、「シャクパスープ」。ネパール版カレーうどんというかすいとんというか。野菜もたっぷり入っていてお勧めです。
・ ラマホテルのジャングルロッジのアップルパイはお勧め。シナモンにチョコレートが入ってます。トレッカーの間の口コミで有名になりつつあるようです。
・ 結局、今回のトレッキング中、肉類は一切食べませんでした。チソパニでは、「鳥1匹」というメニューがありましたが・・

<その他>
・ 今回、けん玉とディアボロ(中国こま)を持って行きました。シャブルーの学校では先生公認でけん玉教室を行いました。子どもたちは本当に夢中になって遊んでました。剣に入れることができる程度でヒーローになれますので、皆様もぜひお試し下さい。
・ ちなみにディアボロの方は、ガイドがいたく気に入り、毎日練習してました。もし、ディアボロをするシェルパがいたら、きっとそれは私を案内したガイドです。


                                       By Mr.NT 


HSA2回目のご利用です。(→前回掲載分: Mr.NT 「ランタン娘の重い写真」)

前回に続き再度のご投稿、ありがとうございます。
この方は、前回もそうですが、大変文章の書き方がお上手な方です。
大変わかりやすくまとめて頂きました。百花繚乱と咲き誇る花々が目に浮かぶようです。
また、ランタンへのこれまでの数回の訪問での思い入れが文章に含みを持たせ、読者の連想を誘います。

やはり夏のランタンは、期待を裏切らないというか、期待以上の花の饗宴のようですね。蛭や南京虫をつぐなって余りあるようです。
実益情報もありがとうございます。でも半ズボンで歩くと蛇などが怖いような気もしますが・・・
地元の人は、蛭も蛇もものともしないということでしょうか。
   
                                               森崎